アヴィ・スタインヴァーグ著 柏書房 978-4760139804

安定した仕事を求めて、フリーライターから刑務所図書館に勤めることを決意した著者のノンフィクション。犯罪者と必要以上に親密になることは禁じれているが、常に接していれば自然と受刑者とも親しくなる。法律を研究しまくって自分の罪の軽減をもくろむ(実際一部実現させる)クーリッジ。著者が担当する講座の時、いつも窓から外を見ていたジェシカの秘密。夢を持ち更生して出所したのに、弟のトラブルに巻き込まれて銃で殺されてしまう元受刑者の家への弔問。「刑務所の図書室を利用しよう。あなたの子どもが利用しなくてすむように。」というポスターを作り、試行錯誤しながら仕事をする中で、もくもくと書架整理を続ける受刑者エリアの姿勢に教えられるが、ストレスでついに退職する。エピローグで、不況の中、次々に公共図書館は閉鎖されるが、刑務所はどんどん建設され刑務所図書館は増えていることに思いをはせる。この特殊な性格の図書館で何ができるのかは難しい課題だろうが、公共図書館が増え、刑務所が減る社会になって欲しい。