ウィリアム・ミラー文 新日本出版社

978-4406054102

黒人として生まれたために図書館の利用を認めてもらえなかった「ぼく」。めがね店で掃除と下働きの仕事をもらったが、本が読みたくてたまらない。やっと職場でフォークさんという理解者を得て、彼の図書館カードを代理で本を借りに来たといって使わせてもらえるようになる。図書館では「本当に代理か」と疑われ、字が読めないといってごまかし、あざ笑われる。だが、読むことによって新しい世界を知る。最初は及び腰だったフォークさんは、「ぼく」がディッケンズやトルストイを読んでいるのを知って励ましてくれるようになる。さらに自由な北の地を目指すところでこの本は終わる。のちに黒人作家となったリチャード・ライトの自伝を基にした作品。黒人差別と、その中でも本に飢える思いが切ない。今でも、本がないところに生きている子どもがいる現実があることを思うと残念です。