だれでも読書会報告 参加者7名
〇日時2024.4.10(水)10:15~11:30
〇場所 浦安市立中央図書館2階集会室

当日紹介された本
『事務に踊る人々』阿部公彦著 講談社 2023 話し合って決まっても、書類にしなければその内容は定着しない。事務仕事について見直す面白い本。

『飛ぶ男』安部公房著 新潮社2024 今年は安部公房生誕100年。この本は、未完の遺作で死後にワープロの中のフロッピーから見つかった。時速2~3キロで飛ぶ男を見た目撃者という不思議な話。過去に妻が手を入れて出版したことがあるが不評で、今回は本人の作品のまま出版。安部公房には19歳で書いた『題未定』というタイトルの本もある。実は彼は生前妻と別れて女優山口果林と同棲。『安部公房とわたし』山口果林著 講談社2018という本を彼女が出している。娘の安部ねりも「安部公房伝」新潮社2011を出版しているが、こちらには山口果林のことが全く触れられていないので、比較すると面白い。

『ブラック・ショーマンと覚醒する女たち』東野圭吾著 光文社 2024 シリーズ3冊目で、今回は短編集。ドラマ化された時の配役を考えたりしながら読むのが楽しい。
『総理にされた男』中山七里著 NHK出版2015 総理とそっくりだったことから代役をやるはめになった男が、最初の純粋な気持ちや善意を持っていることで、良い方向に変えていく物語。今の政治家に読んで欲しい。

『破果』クビョンモ著 小山内園子訳 岩波書店 2022 60代となった女の殺し屋爪角(チョガク)。体力の衰えは感じるが、引退のふんぎりがつかない。淡々と防疫(=殺人)をこなすが、かつてはありえないミスも犯してしまう。そんな彼女を妙に敵視する若い殺し屋が現れ、彼女の最後の戦いが始まる! 女性で高齢であることを侮られる主人公という設定が面白い。韓国フェミニズム小説の流れを組む作品。映画化したらまた面白そう。

『ラブカは静かに弓を持つ』安壇美緒著 集英社2022 音楽著作権にかかわる仕事をする主人公橘は、音楽教室に潜入して教室内での演奏の実態をつかむためのスパイを命じられる。子どもの頃習っていたチェロ。だが、ある出来事をきっかけに、チェロからは遠ざかり、人間関係からも距離を置くようになっていた。だが、たまたま出会ったチェロの講師は、思いがけないほど彼にとって重要な人間になっていく。そして、同じ教室の仲間たちも。著作権裁判に備えて証拠集めのマイクを仕込んで通うことが徐々に耐え難くなる主人公! 文字から音楽が聴こえてくる魅力的な作品。

『指先から旅をする』藤田真央著 文芸春秋社 2023 映画『蜜蜂と遠雷』で風間塵のピアノを担当したピアニスト。映画の音楽がすばらしかったので、読んでみた。2020~2022にかけて、世界の各地でコンサートをした記録。いろいろな有名人や100曲位の曲名が出てくる。知らない曲も多いが、どのように音楽に向き合うようすや、指揮者との打ち合わせなどとてもおもしろかった。なにより著者のキャラクターが明るくてかわいい。

この他、どうやって面白い本をみつけるか? という話になり、書店で見る、新聞の広告から、図書館の人に相談しては? などの話題が出た。