だれでも読書会 

〇日時:6月11日(水) 10:15~12:00
〇場所 浦安市立中央図書館1F  〇参加者:5名

『一路』上下 浅田次郎著 中央公論社 2013
主人公の小野寺一路、19歳。父が、家の失火で突然死亡。江戸で育ってきたのに、初めて自藩に戻り、御供頭を継いて参勤交代を指揮することになる。手がかりは焼け残った「行軍録」のみ。でも。大雪、藩主の体調不良等トラブルが次々に発生。お仕事小説でもある時代小説で楽しく読めた。

『フォース・ウィング』シリーズ レベッカ・ヤロス著 早川書房 2024
ドラゴンがいる世界ナヴァールで、軍事大学に入学する20歳のヴァイオレット。卒業時には1/4しか残らないという過酷な学校で、ひよわな一家の末っ子が入学することに家族はみんな反対するが、その中で竜の騎手となり、魔法の力を得ようとする、という冒険ファンタジー。アメリカではヤングアダルトとして出されているらしいが、性描写が多いので日本では一般書になったのかと思った。ドキドキハラハラで一気に読んだ。全5巻とのことで、今2巻(4冊)まででている。

『真珠湾攻撃 総隊長の回想』 淵田美津雄著 講談社 2007
真珠湾攻撃の総大将であったのに、戦後、両親を日本軍に殺されたのに、日本兵を献身的に看護してくれた看護婦と出会ったことでキリスト教に関心を持ち、洗礼を受けて伝道師となったという著者の回想録。
⇒そんな人がいたのか! という事で話題になった。

『国宝』上下 吉田修一著 朝日新聞出版 2018
極道の家に生まれたが、やくざの出入りで家族が殺され、歌舞伎の家に引き取られた立花喜久雄と、歌舞伎の家の御曹司俊介の二人が競い合い成長する物語。
⇒現在映画化されているので、映画を観た人や、来週観る予定という人から、映画の感想に話が移り、さらに歌舞伎のはなしにまで広がった。

『飛ぶ教室』 光文社新古典新訳文庫 ケストナー著 丘沢静也訳 光文社 2006
このシリーズのコンセプトが「いま、息をしている言葉で」ということで、訳文があたらしいので、このシリーズで読んでいる。寄宿舎の中で、いろいろなタイプの少年たちが登場して楽しい。ケストナーは『ふたりのロッテ』も面白い。

『ヘッセ詩集』 新潮文庫 ヘッセ著 高橋健二訳 新潮社 2014
詩集の中から詩を一篇朗読した。「魂は曲がりくねった小道を行く」という一節がとても好きだという。まもなくドイツ旅行を予定しているとのこと、でドイツの話題になった。

 

『自転車泥棒』呉明益著 文藝春秋 2018
冒頭で、女の子が恐怖に駆られて、とっさにその場にあった自転車に乗って畑から逃げ出す。この女の子正体が、最後の最後になって、意外な人物であることがわかり驚愕! 主人公の家族の体験した3回の自転車の盗難から、自転車コレクターになり、自転車を探す中で、台湾の現代史(植民地下の台湾、戦争、戦後)をかたる、不思議な物語。過酷な状況が、同時にファンタジーのように語られて魅力的。

全体のようす。はじめての方が2名。5人なので、早めに終了するかと予想したが、話が盛り上がってギリギリの終了となった。それぞれが、十分に語ることができた感じであった。