図書館友の会ってなぁに? 浦安市図書館友の会誕生秘話
日時:2022.3.11 午前10時~11時20分
開催方法:Zoom 参加者10名
〇浦安市図書館ボランティア海外派遣事業とオーランドの図書館事情(伊藤)
1992.2.2~2.11実施
当時、熊川市長、国際交流課辻村課長の元で姉妹都市オーランドとの様々な市民交流事業が実施され、その一環として行われた。
オーランド市図書館は全米でも先進的な図書館。浦安市も図書館が発展しており、交流することになった。浦安市立図書館でボランティア活動をしている人たち(障がい者のための録音・点訳活動/地域・学校でのよみきかせ活動/読書会など)に呼びかけ、13名が選抜された。障害者・児童・友の会グループの3つの研究グループを作り、事前学習後、服部アキ氏が団長となって出発の運びとなった。随行職員は常世田奉仕係長・伊藤主任司書(当時)。帰国後、『浦安市図書館ボランティア海外派遣団報告書』1992.3.31を作成した(図書館レファレンス室で見られます)。
・出発までが大騒ぎ
出発前日が大雪、当日の朝が地震、停電が起きる中、皆自宅マンションの階段を大きなトランクを抱えて降りて、市役所前駐車場に集合。しかし、東関道通行止めでバスが進まず、京成津田沼から電車に乗り換えて、成田空港へ。成田空港でもエレベーターは止まっており、荷物を抱えて階段を昇り、出発ロビーに着いた。しかし、飛行機の出発は遅れ、ワシントンでの乗り換えはギリギリというヒヤヒヤの中でなんとか現地に到着した。
・現地での主な日程
2月3日 市役所へ表敬訪問。オーランド市図書館見学
オーランド市図書館友の会との昼食会
2月4日 午前:サウスウエスト分館見学
午後:児童グループはドクター・フィリップス小学校学校図書館見学
障がい者・友の会グループはウィンターパーク記念病院図書館見学
2月5日 デイトナ障がい者サービス図書館・リハビリセンター見学
2月6日・7日自由行動
2月8日 ワシントン図書館等見学
2月9日 自由行動
2月10日 帰国へ
・オーランドの図書館
面積27,000㎡で浦安図書館の5倍。オーランドのダウンタウンに位置して、ドライブスルーの貸出も行なっていた。ライブラリアンは書架の近くを回って案内を行い、貸出手続きは貸出専門の事務員が行っている。館内には友の会のブックストアがある。友の会は図書館の廃棄図書や寄贈本を販売し、資金集めに協力。
(Webサイトの写真で現地の様子を紹介。この中で、ミシンが並んだラボが紹介されたところ、なぜミシン?という質問が出て以下の話題に)
ラボ(メイカースペース)はわたしたちの見学時にはなく、その後できたもの。近年欧米の図書館は本やメディアだけでなく、市民のための様々ツールを備えたセンターとして機能している。わずかな実費だけで本格的な機械を操作したり、創作することができ、そこからビジネスにつながることもある。企業の寄付等が財源。
〇オーランドに行って(派遣事業参加者より)
館長の仕事は寄付集めとのことで友の会も資金集めに力をいれていた。ライブラリアンの仕事と、貸出をするだけの事務員の仕事が完全に分かれていて、ライブラリアンになるためにはたいへんな勉強が必要など日本との違いを感じた。
現地の図書館友の会に暖かいおもてなしをしていただいた。
日本の図書館友の会というと、市への陳情団体という感じがするが、オーランドの友の会は、図書館の職員と図書館に来る人との交流の場を作っていると感じ、そうした友の会を実現しようと思った。
現地の友の会は自分たちの街の図書館を誇りに思っていることが伝わってきた。
オーランド図書館友の会のパンフレットから
「もしあなたが現在の図書館サービスに満足しているのならそれに感謝して友の会に入会しませんか。もし図書館に何かを付け加えたり改善しようとお望みなら、その提案を携えて友の会に入会しませんか!」(報告書舟田さんの文より)
〇その他の話題・感想
・アメリカの寄付文化はすごい。それに対し、北欧の図書館は税金で優れた図書館がつくられているという違いがある。
・浦安の図書館もすごいと思ってきたが、けた違いにすごいアメリカの図書館のようすがわかって面白かった。
・日本だと図書館を指定して寄付を行うということができない。⇒友の会では紙を寄付したりしてきた。図書館にとって良いこと、図書館が望んでいることがわかると良い。
・日本では子どもの本離れ(特に高学年以降)が言われるがアメリカはどうなのか? ⇒アメリカでもそうしたことはある。だが、アメリカでは学校図書館の機能が高く、スクールライブラリアンの地位も高い。また、オーランド市図書館はこのコロナ下では車で貧しい地区を訪問し、Wi-Fi基地を提供して、子どもたちの学習環境を保証する活動も行ったりしている。
・子ども図書館の検討に関わり、延べ100人から聞き取りをしたところ、突拍子もない要望がたくさん出たと思ったが、子どもたちとお料理を楽しんだり、劇場が備わったりと、オーランドではすでに実現していると参考になった。