だれでも読書会報告
〇日時:2021.12.15(水)午前10時~12時
〇場所:浦安市立中央図書館1F ワークスペース
〇参加者:9名 〇参加費:無料
当日紹介された本
『眩(くらら)』朝井まかて著 新潮社 2016
『北斎まんだら』 梶よう子 講談社 2017
どちらも北斎の娘お栄を主人公とした本だが、特に『眩』がよかった。こちらは表紙に葛飾応為(お栄の画号)の絵が使われているが、それも魅力的。
〇宮崎あおいがNHKでお栄を演じたドラマの原作。ドラマも面白かったなど話がはずみました。
『彼方の友へ』伊吹有喜著 実業之日本社 2017
一世を風靡した『少女の友』をモデルにした編集部で働きながら成長する千代が主人公。タイトルの〝友″とは、読者のこと。とりわけ中原淳一がモデルである画家の存在が大きく、戦争と言う嵐の中の編集部のようすが切ない。
〇朝ドラになりそうな話、出版社の実業之日本社自体も明治からある古い出版者だと話題になる。
『神聖喜劇 第1巻』大西巨人著 光文社 1978 *全5巻
大学を卒業してから何度もチャレンジしているが、なかなか読めない。だが、コロナの自粛生活が、読む良いチャンスになった。軍隊の中で、法律の知識を駆使して抵抗する主人公の過ごした1週間を5,000ページも書くなど内容が濃い。例えば軍隊では「知りません。」はNG。知らせなかった上官の責任になるから。「忘れました。」は、本人の責任なのでOKで、こちらを使わなければならない。など、責任が下に向かう無責任体制は、現在を思わせる。ちなみに、著者にこの本を書かせるために、光文社の社長が、生活を丸ごとめんどうをみていたが、今ではそんなことをする出版者はない。
〇息子の大西赤人も有名。『神聖喜劇』は漫画版もあるなどが話題となった。
『にいさん』いせひでこ作 偕成社 2008 ゴッホと弟の絆を描いたとても美しい本。ゴッホが絵を描いていた10年間を支えたのがテオで、ゴッホの死の半年後には亡くなっている。
『ゴッホのあしおと』原田マハ著 幻冬舎2018 『たゆたえどもしずまず』原田マハ著 幻冬舎2017
もゴッホを主人公にした作品。
〇いせさんは夫が柳田邦男で、いろいろな作品を書いているねなどの発言が。
『小暮写真館』宮部みゆき著 講談社 2010
主人公は高校生の男の子。古い写真館に移り住んだ一家のちょっとした謎解き。ことばの力が魅力的。辞書も使いながらおもしろい表現を味わっているが、『辞書』が、これからの愛読書になると気づかせてくれた本でもあった。
〇宮部みゆきさんは間違いないね、という感じでみんな納得。
『完売画家』中島健太著 CCCメディアハウス 2021 武蔵野美大に入った画家が、父が在学中に亡くなったことで、絵を売りたい、と思ったときに、美大は絵の描き方は教えてくれるが、絵の売り方は教えてくれないところだ! と気が付いて試行錯誤をはじめた体験を踏まえた作品。きちんと売ることで、絵を描き続けることができる。そしてそういう人が増やすためには、今まで絵を買ったことがない人に買ってもらう、そうするためにはどうしたらいいのか? 今までにない視点が面白かった
〇絵と買うのは特別の人、という気がする。この人、テレビで見た、などと話題となった。
当日は初参加で入会された方が、自己紹介をされたことで、名字の話題がでたり。最後全体を見ると絵
画がらみの作品が多かったのが、偶然としても面白かったという感想がでました。
このほかにも、老舗出版社で現在は消えた博文館についてなど、話題は多岐に広がりました。