だれでも読書会 報告
〇日時2025年2月12日(水)10:15~12:00
〇場所 浦安市立中央図書館1F ワークスペース
〇参加者 5名
[当日のようす]
最初に準備した短歌をみんなで見ながら、自分の好きな短歌をさがして感想を話合い、その後本の紹介をした。
御庭番耳目抄 まいまいつぶろ 村木嵐/著 幻冬舎 2024.5
『まいまいつぶろ』のシリーズで番外編短編集。身体が不自由で、言葉も不自由、膀胱が弱いために、歩いた後に尿の跡が残り、゛まいまいつぶろ゛と呼ばれた将軍家重を取り巻く人々の物語。聡明なのに、周りから理解されない不遇の将軍に向けられるまなざしが面白くて、これだけ読んでもおもしろかった。描かれているのも、大河ドラマと同じ位の時期で興味深かった。
身体感覚で『論語』をよみなおす。 古代中国の文字から 安田登/著 春秋社 2009
12月まで会社勤めをしていたが、退職してゆとりができたので初めて参加してみた。この本の著者は能楽師で、身体を動かす仕事。孔子が「学ぶ」と言っているのはお稽古事で、机の前の事ではない、と感じている。また、当時と現在では漢字が変わっていて、「四十にして惑わず」の「惑」という漢字は当時は下には心をつけていなかった。心を取って土編をつけると「域」だが、つまり区切ったものの意味になる。「四十歳になって迷わなくなった」のではなく「四十歳になって枠組みにとらわれなくなった」という意味ではないか、というような記述が面白かった。
日本縦断郵便貯金の旅:旅のついでに3334局 種村直樹/著 徳間書店 1995
『鉄道ジャーナル』が廃刊になるというので、この本を選んだ。種村直樹は宮脇俊三と双璧の鉄道ライター。『鉄道ファン』は車両マニアが多い傾向があり、『鉄道ジャーナル』は、総合的な感じがあるように思う。そして種村直樹は、元記者なので、淡々とした記述で体験を全て書く感じ。この作品も、鉄道に乗りつくした著者が、鉄道で日本全国の郵便局を周るというもの。
『鉄道ジャーナル』を創刊した竹島紀元氏は、朝鮮半島で育ち、戦後引き上げて旧制5高から九州大学工学部に進み、機関士に憧れて国鉄に入ろうとしたが、高学歴のために現場には出られないと考え、て病院勤務の後に鉄道雑誌の道に入るという経歴。雑誌終了に感無量。
香君 上 西から来た少女 上橋菜穂子/著 文藝春秋 2022
香君 下 遥かな道 上橋菜穂子/著 文藝春秋 2022
最近文庫化したが、文庫で4冊になるので、全部買うとハードカバーとほぼ金額が変わらないので、ハードカバーで購入した。主人公はアイシャという特殊な嗅覚を持つ娘。舞台の藩王国では、オオマヨというオアレ稲という収穫が多く味が良い稲がとれるが、害虫が発生! オアレ稲ばかりの藩王国の危機をどう救うか? というドキドキの展開で、あっという間に読んでしまった。強い女主人公の姿も魅力。
葬られた本の守り人 ブリアンナ・ラバスキス著 小学館 2024
焚書を行うドイツに招待されたドイツ系アメリカ人の新人作家アルシア、焚書に対抗するため戦地に本を送る活動をするニューヨークのヴィヴィ。ドイツから逃れ、パリで「焚書された本の図書館」に勤めるが、ナチス侵攻に怯えるハンナの3人の物語。クライマックスは、戦地に送る本の内容を規制することで魅力をなくし、大統領選で有利な立場になろうという陣営との対立という形で、図書館の自由を描いている。
戦地の図書館 海を越えた一億四千万冊 モリー・グプティル・マニング/著 松尾恭子 東京創元社 2016
『葬られた本の守り人』の背景を知りたくて読んだが、こちらの方がずっと面白かった。戦地で荒廃する心を本が支えるようす。重装備に苦労する兵士のための軽いペーパーバック本の作成。砲弾が飛び交う塹壕の中の待機を読書が支え、のどかな日常生活を描いた本が好まれ、自分たちが守りたいものを明らかにしてくれたようす、そしてナチス敗戦後の日本の抵抗に苦労して心が荒むようすを見て、アメリカ側からは日本はこう見えたんだ、と、いろいろな気づきを与えてもらった。
この他、雑誌の廃刊が増えていること、2024年問題で、流通の配達員に規制がかかって書店に本を注文しても遅くなっていること。書店に探しに行ってもない本が、アマゾンですぐにみつかるので、ついそこで買ってしまうことなどが話されました。